泌尿器科医である僕が全国展開する有名「包茎クリニック」でアルバイトして色々な事が解った

私は泌尿器科医として「病院勤務」と「クリニック経営」という二足(二束)の草鞋の生活を長くやってきました。

「包茎手術」というと大半の方は「泌尿器科」の仕事ですね。
それ以外の方は「美容外科」でもやってますよね
またさらに「包茎の専門クリニック」がありますね。
という答えがかえって来ます。 それが一般的な反応であろうと思います。

私自身は英国留学では泌尿器外科の研鑽を積み 骨盤外科(尿路再建外科を中心に)の手術 様々な内視鏡手術や神経泌尿器学(神経疾患と排尿障害)最新の尿流動体検査など日本では仲々勉強できないことを多くを学び また英国で出会った医師から泌尿器外科医また臨床医としての礎となる大切なことを学びました。

現在の自分の医師としての方向性を明らかにできたことは非常に良い経験でありました。

大学医学部を卒業し泌尿器科医として過ごしてきた35年で 当初あまり積極的にやってこなかったことは「包茎手術」と「パイプカット手術」でした。

正直 これは自分の仕事ではないと思っていた時期もありました 大学病院泌尿器科医として勤務した際も少ないながら「包茎手術」や「パイプカット手術」は施行していましたが ほとんど「片手間」の仕事でありました。

大学病院以外の病院で勤務して初めて「包茎手術」と「パイプカット手術」は泌尿器科医としてちゃんとしなければという気持ちが出てきたました。
手術のリクエストが市中の病院には少なからず存在します。
それに対応しなければなりません。

自分の手術手技を向上させるための一つの方法として症例数の多い医療機関で勉強するのが近道と考えました。
そこで「興味本位」または「怖いもの見たさ」で沢山の手術症例を持つ専門のクリニックでは「何をやっているのか?」という気持ちが芽生えてきました。
元来 自分は「手術に関して勉強好き」であることが理由の一つではありますが チャレンジシてみることにしました。
当時 「包茎クリニック」が徐々に増加している時期でもあったし チェーン展開しているクリニックも出てきていました。
しかしながら 周囲の泌尿器科医の仲間で「包茎クリニック」に就職したりアルバイトに行っているという話は皆無でした。 この状況については後述します

その当時は多少時間的に余裕もあったので 大手の有名な「包茎専門クリニック」でアルバイトでもしてみるかと行動を起こしました。

大手の「包茎専門クリニック」のアルバイト医募集に応募しました。
たまたまそのクリニックの院長と私の大学の先輩の職場が同じであるということで「縁故採用」してもらいアルバイトできるようになりました。
はじめのうちは当時の院長 (外科医)の手術を見学し ポイントを教えてもらい 経験豊富な他のアルバイト医の手術の手伝い(見学)もしながら 自分でも症例を増やしていきました。

院長以外は全員アルバイト医でした。
自分の仕事日に出会う医師は胸部外科医 整形外科医 形成外科研修医 消化器外科医 専門科目もバラバラ
当時は泌尿器科医は私だけでした。
熟練の外科医達は皆手際よく手術をこなしていました。 包茎手術自体はシンプルな手術ですが「デザインが重要である」ことは間違いありませんがやはり「包皮の切除と縫合技術が手術の善し悪しに直接影響」します。
実際のところかなり勉強になったことは間違いありません。

しばらくしてアルバイトの日数を増やしてくれないかと依頼され 半ば休み返上でアルバイト生活が中心となりました。
当時は大学病院は研究生扱いであり特に仕事がないので 先輩の病院で泌尿器科・外科の仕事をしつつ 「包茎クリニック」でのバイト生活が続きました。

当時の院長があまりクリニックに登板することが「何故か?」少なくなりましたが 自分自身は他のアルバイト医との関係も問題なく 比較的「楽しい」バイト生活でありました。

当時の院長はある中堅の有名な病院の非常勤外科医であり その勤務外科医が「包茎クリニック」経営していることそのものが その病院で問題になったと聞き その後「税務上のトラブル」で院長は退職?となりました。

代わりの「院長」が突然現れて 事務方に紹介されました。その新しい院長(新院長とする)は泌尿器科医で
神奈川の大学卒業の「やり手」の新院長でした。
この辺りから「包茎クリニック」の新展開が始まったと覚えています。

まず経営改善?のためか 価格変更となりました。
また「美容院」のような「価格表」が出来
手術する医師によって値段が違うというようなことが起こりました。
新院長の手術とバイト医師では価格が違いさらに 使用する「縫合糸」によっても価格に差が発生しました。 こんなことは前院長の時代にはなかったことです。抜糸の必要なナイロン糸と抜糸の必要のない融解性合成縫合糸で値段が違います。 高い手術で使用するナイロン糸の方が単価は安いはずですが?と思ってました。 抜糸の手間がかかることとナイロン糸の方が生体への反応が少ないので意味は解るのですがその価格差は疑問ではありました。事務方より「収益率の向上なんだ」ということを知りました これがビジネスなんですね。
新院長の登場で現場には「ちがうムード」が流れました。

そこで働く男性スタッフ(彼らは看護師でもなく なんの資格もない)「あたりの優しい男子」達ですが 手術の説明して手術のオプションとして 即ちだれが手術するか どんな縫合糸を使用するか 写真を見せながら説明し さらにオプションとして「シリコンボール」挿入や亀頭部へのコラーゲン注入(いわゆる亀頭増大)などを患者さんに勧め 客単価を上げるのが仕事です。 これは男性スタッフへのインセンティブとなることで一見成功したかに見えました。

現場は客単価を上げられる男性スタッフとそうでないスタッフの間に軋轢が生じたことは言うまでもなく スタッフの入れ替わりが激しくなっていきました。

自分自身は単純に「包茎手術」の技術向上が目的であったし 当初は比較的リーゾナブルな料金設定でもあったので気にもならなかったことが 新院長の経営方針には「疑問」もあり 他のアルバイト医師も前院長により採用または直接依頼された経緯のある医師も少しずつ その「包茎クリニック」を去っていきました。

私もそのアルバイトを辞めることにしました。
同じ泌尿器科医でありながら「包茎」自体を完全に商売とみなす感覚が自分とは違うこと強く感じたからです。

この「包茎治療」に纏わる「疑問」や「謎」を考察するために「包茎クリニック」でのアルバイトを通じて全てではないけれども内部事情を垣間見ることで色々なことがわかりました。

ひとつの「包茎専門クリニック」での経験で全てを語るのは問題があるかもしれませんが どのクリニックも概ね似たようなものだと思います。

そもそも自分は内部告発をするため「包茎クリニック」への潜入捜査した訳でもなく 単にアルバイト医として数年にわたり過ごして「包茎クリニック」が経営方針によって全く違うものに変わるということに「驚きがあり」また正直なところ「違和感を覚えた」わけです。
このことを自分の中に留めるのではなく 誰かが「包茎クリニック」を考える際の一助になれば幸いであると考えてこのブログを書いています。

また泌尿器科医として「包茎」を商売にすることなく 治療することが本来の仕事であることを しっかり伝えていくことが使命であると考えています。

そのようなコンセプトで泌尿器科医の立場から
「包茎」全般について述べていきます。

これは「包茎専門クリニック」での説明とは相違があると思いますが これが「泌尿器科医」と「包茎専門クリニック」の考え方の差であり 実際には「通常の医療」としてか「ビジネスの対象」かの大きな違いとなるはずです。


泌尿器科医である僕が全国展開する有名「包茎クリニック」でアルバイトして色々な事が解った

#1 「包茎」には種類がある?

#2 厚生労働省で「真性包茎」「嵌頓包茎」は病気と認定されているが「仮性包茎」は?

#3 「包茎手術」は泌尿器科の仕事ではない?

#4 大学病院や基幹病院の泌尿器科では「包茎手術」はしないのか? 

#5 病気なのに「真性包茎」「嵌頓包茎」は何故 自費治療なのか?

#6 そもそも「包茎クリニック」は全世界に存在する?

#7 「包茎専門クリニック」の院長は何科の医者?

#8 全国展開する「包茎専門クリニック」に「からくり」?

#9 何故 泌尿器科医は 「包茎専門クリニック」で働かないか?

#10 今後日本の「包茎治療」はどうなるか?

#11 「包茎手術」へ誘導する宣伝は正しいか?

#12 泌尿器科医としての「自分自身の立ち位置」は?

#13 理解できない「長茎術」という性器改造手術

#14 このブログには賛否両論あると思うが

#15 「良質な医療行為」のために私が行うこと